金融機関への借入金返済が厳しいときに行うリスケジュールとは?メリット・デメリットについても解説

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金融機関への借入金返済が厳しいときに行うリスケジュールとは?メリット・デメリットについても解説

皆さんこんにちは 長崎県佐世保市にある経営コンサルティング会社 翔彩サポートです。

『開業時に金融機関からお金を借りたけど、売上見込みが立たないから返済が厳しい』
『これまで自転車操業を行ってきたことで毎月の返済金額が膨れ上がって、今の売上では返済できない』
『毎月ギリギリで返済はできているけど、生活費も確保しないといけないから資金的な余力を持ちたい』

事業を行う人であれば多くの方が金融機関からの支援を受けて事業を進めていきます。

金融機関から借り入れを行う際に注意しないといけないことは無作為で借入をしないということです。事業に確実なことはありませんが、返済できる計画をしっかり立てて実行に移さなければいけません。

しかし、売上が思うように上がらないと返済原資を作ることも難しいケースは往々にしてあります。

そこでこの記事では、金融機関への借入金返済が厳しいときに行うリスケジュールについて、起業から経営をサポートする長崎県佐世保市の翔彩サポート、代表の広瀬が解説します。

売上の目処が立たず返済をどうしたらよいかお困りの方や自転車操業から抜け出したい方は、ぜひ最後までご覧ください。弊社は、初回の無料カウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。

金融機関への借入金返済が厳しいときに行うリスケジュールとは?

簡単にいえば、「返済条件を変更して、銀行等に融資の支払いの減額を認めてもらうこと」です。

返済しなければならない金額が、毎月50万円(元金45万円、利息5万円)の場合、これを元金の一部と利息(10万円)や利息のみ(5万円)の支払いとしてもらうようなケースがこれにあたります。

リスケジュールすることで元金の支払いを少なくできますので、資金繰りを大幅に改善することができますが、その分完済までの期間は長くなることになります。

金融機関にとっては、融資先からのリスケジュール対応は不利なことしかありません。そのため、リスケジュールに対応するための必要な材料がないままでは、いくらお願いしたとしても対応してもらえないでしょう。

リスケジュールした後の業績が改善する根拠だったり、固定費を削減する計画だったりと返済資金をきちんと作ることのできる明確なものが必要です。

リスケジュールが認められないケース

リスケジュールが認められないケースは、主に以下の3つです。

  • 過去の返済状況や銀行対応
  • 経営が危機的状況かつ回復の兆しが見えない
  • 経営悪化の原因が犯罪や不正行為等によるもの

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

過去の返済状況や銀行対応

金融機関は融資をする際に、これまでの実績や返済状況を重視します。

「過去に何度も返済が滞ったことがある」、「金融機関とした約束を守っていない」などの事実がある場合は、追加の融資をしないだけでなく、リスケジュールの申し出についてもこれを認めないことがあります。

経営が危機的状況かつ回復の兆しが見えない

すでにリスケジュールの申し出をした会社の経営状況が悪化もしくは経営が危機的状況となっており、リスケジュールを認めても近いうちに経営の破綻が見込まれるような場合は認めてもらえないことがあります。

経営悪化の原因が犯罪や不正行為等によるもの

リスケジュールの原因となった会社の悪化が、犯罪や不正行為等によるものである場合もリスケの申し出は認められません。

リスケジュールを行うメリット

リスケジュールを行うメリットは、主に以下の4つです。

  • 資金繰りが改善する
  • 融資よりも認められやすい
  • 経営の見直しのキッカケができる
  • 一括返済や代位弁済の防止

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

資金繰りが改善する

リスケジュールを金融機関に認めてもらうことで、元本の返済猶予や支払い期間の延長がされるため、資金繰りを改善することができます。

  • 実施期間については、半年~1年間程度
  • 元金については、返済なしまたは数万円程度まで減額
  • 利息については、減額をせずそのまま支払いを継続
  • 期限終了後は、経営の回復状況を考慮した上で必要があればリスケを継続

また、複数の金融機関と取引をしている場合には、通常、リスケジュールも複数の金融機関と行うため、このような場合にはさらに資金繰り改善の効果が大きくなります。

融資よりも認められやすい

リスケジュールは融資と違い、経営状況が思わしくない会社であっても、比較的簡単にこれを利用することができますが、あまりにも悪い場合は認められません。

経営の見直しのキッカケができる

リスケジュールの申込みをする場合には、経営改善計画を提出するのが一般的ですが、これを作成することで、自ら資金繰りや経営の見直しをする契機となります。

この記事を見ている方は、リスケジュールになる前から経営の見直しは常に行ってください。

一括返済や代位弁済の防止

予定の返済額よりも少ない額の支払いしかできない場合には、残額の一括返済や信用保証協会による代位弁済の手続きが取られる可能性があります。

これらの手続きがされた場合は、信用情報に悪い評価がつくだけでなく、最悪、担保物件の競売や保証人への請求といった措置が取られるため、その後の経営を続けていくのが困難です。

しかし、リスケジュールは金融機関との正式な契約にもとづく行為であるため、返済額を減らしてもこのような事態となることを避けられます。

リスケジュールを行うデメリット

リスケジュールを行うデメリットは、主に以下の5つです。

  • 追加融資が受けにくい
  • 申請してから認められるまで時間がかかる
  • 返済期間の長期化
  • 追加書類の作成
  • 保証料などのコスト増加

具体的な内容については、以下で詳しくご説明します。

追加融資が受けにくい

金融庁は金融機関に対して、「貸付条件の変更等の履歴があることのみを理由として新規融資を拒絶することがないように」との指導をしています。

しかし、実際にはリスケジュールをした会社は、返済が正常化してからある程度の期間が経過するまで追加の融資が受けにくくなるのが普通です。

申請してから認められるまで時間がかかる

いくらリスケジュールの申請がやりやすくなったとはいえ、最終的にこれを認めるかどうかを決定するのは金融機関です。

したがって、改善計画の内容などによっては、申請してもリスケジュールが 認められない、もしくは希望どおりの条件にならないということがあります。

返済期間の長期化

リスケジュールは、元本の金額を少なくして返済を行うため、その分、完済までの期間は長くなります。

また、リスケジュール期間中であっても、利息は免除とならないため、最終的に支払う利息の総額もより多くなります。

追加書類の作成

リスケジュールの申し込みは、書類によって行う必要がありますが、その際には「経営改善計画書」や「資金繰り表」他の書類も作らなければなりません。

そのため、これらの書類の作成に時間と労力がかかります。

保証料などのコスト増加

信用保証協会付の融資についてリスケジュールをする場合には、その内容に応じた新たな保証料が必要となります。

新規融資の上乗せのないリスケジュールの場合には、この保証料を手元資金から負担しなければならないため、これらの保証料をはじめに用意しておかなければなりません。

リスケジュール交渉の際のポイント

コロナ禍においては、中小零細企業を救う目的が強かったことからリスケジュールの実行率は99%以上の実績となっています。つまり、ほとんどの申請した事業者は、何かしらの貸付条件の変更等の承諾を受けることができているのです。

「コロナ禍においては交渉など必要ないのでは?」と思われるかもしれませんが、新型コロナ感染症を何とかを乗り切っても、その何年後、何十年後に、業績悪化により、リスケジュールをせざるを得ない状況がやってくるかもしれません。経営者であれば必ずリスケジュールの交渉ポイントについて理解しておいてください。

  • 原則、全ての金融機関、同じ条件にて交渉すること
  • 複数の金融機関との付き合いがある場合にはメインバンクから説得すること
  • 「経営改善計画書」(事業計画書)などの資料を提出すること
  • 基本は1年間の「元金棚上げ(元金返済ゼロ)」、「利息のみ支払」を依頼する

金融機関からすると何のうま味もないリスケジュールですのでお詫びの気持ちをもって、交渉を進めてください。昔と違って、現在はとても穏便に進捗することが多いですが、交渉する際には条件変更依頼書を作成して申し出るようにしてください。

本来は、詳細な経営改善計画書など多くの資料を作成して金融機関を説得することが原則です。たとえコロナ禍においても、速やかに経営改善計画書などの資料を作成して提出するようにお勧めします。

万が一、リスケジュールを断られた場合であっても、強い意志をもって粘り強く交渉してください。

ケースによっては、従業員の給与カットやリストラ、その他経費カット、そして自らの給与の大幅カットなどの覚悟も必要になります。

まとめ:資金繰りにお困りなら、翔彩サポートまで

事業者にとって最も判断が難しいことは、リスケジュールのタイミングなのかもしれません。この点については、専門家の意見を聞くことをお勧めします。

リスケジュールを行うと、原則として「新規借入」ができなくなります。よって、その後の改善計画や事業展開などについて、専門家の意見を聞くことをお勧めします。

金融機関との交渉が苦手な方や資金繰りを根本から改善したい方は、翔彩サポートまでお気軽にご相談ください。

監修者情報

経営コンサルタント         翔彩サポート 代表 広瀬祐樹

【経営分析×経営アドバイス×財務管理】による永続的に繁栄する経営体制を支援。

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